解体工事でトラブルが発生したら?すぐにできる相談先と対処法ガイド

隣家や近隣で始まった解体工事に対して、「思っていたより音が大きい」「ほこりが洗濯物に付いてしまった」「朝の7時前から作業をしている」など、さまざまな不満や疑問を抱く方は少なくありません。こうした状況は、決して特殊な例ではなく、住環境に密接に関わる問題として多くの人が経験しています。


なかには、「これはトラブルでは?」と思っても、どこに相談すればよいかわからず、我慢を続けてしまうケースもあります。工事が終わるまでの数週間から1か月、ずっとストレスを抱えたまま過ごすのは、精神的にも大きな負担です。


一方で、早めに適切な相談を行えば、業者側が対策をとってくれたり、施工主と話し合いの機会が得られることもあります。問題が深刻化する前に冷静に対処することで、住民側・工事側の双方にとって、より穏やかな関係を築くことが可能になります。


本記事では、よくある解体工事のトラブルとその原因、そして困ったときに誰に相談し、どう対応すればよいのかについて、現実的な視点で整理していきます。




騒音やほこりだけじゃない、実際にあった事例から学ぶ

解体工事をめぐるトラブルのなかで、特に多く聞かれるのが騒音と粉じんに関するものです。重機で建物を壊す際の「ガガガッ」という破砕音や、鉄骨や木材が崩れるときの大きな衝撃音は、日常生活を送る住民にとって非常にストレスになります。また、粉じんが風に乗って近隣住宅に飛び、洗濯物が汚れる、部屋の中に細かいほこりが入り込むなどの実害も報告されています。


しかし、実際のトラブルはそれだけではありません。たとえば、工事の開始時間が事前説明と異なり、早朝から作業が始まっているというケース。あるいは、通行が難しくなるほどに大型車両が路上を占有していたり、仮設トイレの設置場所が不適切で臭気が漂ってきたりすることもあります。さらに深刻なのは、解体の振動によって隣家の外壁や塀にひびが入るなど、物的被害が生じた場合です。


こうしたトラブルの背景には、施工業者の配慮不足や、現場と施主との連携不足がある場合も多く見受けられます。「まさか自分の家が影響を受けるとは思わなかった」という油断が、結果的に被害を広げる原因にもなりかねません。


まずは「どんなトラブルが起こりうるのか」を冷静に把握し、自宅の状況と照らし合わせてリスクを想定しておくことが、的確な対応につながります。




現場責任者・市役所・弁護士…相談の優先順位と注意点

解体工事に関するトラブルが生じた場合、「誰に、どのタイミングで相談すべきか」が分からないまま、つい後回しにしてしまう方も多いのが現実です。しかし、状況に応じた適切な相談先を知っておけば、問題が大きくなる前に早期に対応できる可能性が高まります。


まず最初に相談すべきなのは、現場責任者または施工業者です。工事のお知らせに記載された電話番号に連絡し、「〇時の作業音が思っていたより大きく、こどもが驚いて泣いてしまった」など、困っている状況を冷静に伝えましょう。誠実な業者であれば、すぐに作業内容や手順の調整を行ってくれる場合もあります。


次に、**施工主(工事を依頼した家の所有者)**に連絡を取るという方法もあります。業者に伝えにくい場合や、対応に納得できない場合には、直接施主と話すことで理解を得られることがあります。


それでも改善が見られない場合は、市区町村の建築課や環境課など、自治体の担当窓口へ相談することが可能です。騒音や振動の程度によっては、行政指導が入るケースもあります。


さらに、金銭的な損害や家屋への影響などが発生した場合は、**消費生活センターや法律の専門家(弁護士)**への相談も視野に入れるべきです。ただし、法的手段を検討する場合でも、まずは証拠の収集や記録を整えておくことが大切です。


相談は早ければ早いほど効果的です。「迷惑をかけたくない」という遠慮よりも、「問題を大きくしないために行動する」という意識が、解決への第一歩となります。




スマホで簡単にできる、トラブル対応の記録術

解体工事に関するトラブルを相談する際、重要なのは「何が、いつ、どのように起きたのか」を具体的に伝えることです。そのためには、客観的に状況を示す記録を残しておくことが非常に有効です。記憶だけに頼らず、証拠として残すことが、円滑な対応につながります。


まずおすすめしたいのは、スマートフォンでの写真・動画の記録です。たとえば、飛び散った粉じんで洗濯物が汚れた様子や、通行が困難になるほどの車両の停車状況などを、日付がわかるように撮影しておくと説得力が高まります。動画であれば、騒音の大きさもある程度伝えることが可能です。


また、メモや日記のような記録も有効です。「〇月〇日午前8時半ごろ、作業音が非常に大きく、家の窓が振動した」「同日午後、工事関係者に対応を依頼し、返答はこうだった」といった形で、時系列に沿って記録しておくと、後日経緯を説明する際に役立ちます。


工事のお知らせややり取りのメモも保管しておきましょう。業者名・連絡先・工事期間などが書かれた文書は、万が一トラブルが長期化した場合に、相談先が工事の背景を理解する材料になります。


重要なのは、記録はあくまで「解決のための手段」であり、対立の材料ではないという意識です。相手を責めるのではなく、状況を正確に共有するためのものとして、冷静に活用することが望ましい対応といえます。




対話がこじれる前に…第三者の介入で冷静に話を進める

相談しても改善が見られない、業者の対応に納得できない、感情的なやり取りになってしまう――そんなときは、一人で抱え込まず、第三者の力を借りることが有効です。問題がこじれる前に、適切な支援を受けることで、冷静な話し合いと現実的な解決が可能になります。


まず、市区町村の担当窓口に相談することで、現場に指導が入ることがあります。たとえば、音量や作業時間が近隣への配慮を欠いている場合、建築指導課や環境課が事実確認を行い、改善を促してくれる場合があります。


また、地域の消費生活センターも利用できます。施工主とのやりとりがうまくいかない場合などに、契約内容やトラブル対応のアドバイスを受けることが可能です。ここで得た見解をもとに、再度冷静に話し合いを持てることもあります。


どうしても話が進まない場合は、弁護士への無料相談や、法テラスなどの支援機関を通じた調停の場を検討することも選択肢の一つです。感情的な対立ではなく、事実と記録に基づいた整理が前提となるため、落ち着いた対応が可能です。


大切なのは、「自分ひとりで解決しよう」と思いすぎないことです。近隣トラブルはどこにでも起こりうるものだからこそ、仕組みとしての相談先を活用することで、必要以上に疲弊せずに済む道が開けます。


万が一、今後工事を依頼する立場になった際には、近隣配慮を徹底した業者選びがトラブル予防につながります。信頼できる施工体制に関心のある方は、以下をご覧ください。

▶︎ https://www.matsushitasouken.jp/demolition_work




我慢せず、冷静に相談を。トラブル解決は“最初の一歩”から

解体工事によるトラブルは、予想以上に生活へ影響を及ぼすものです。騒音や粉じんといった直接的な被害から、気持ちの面でのストレスまで、放置していても自然に解決するとは限りません。だからこそ、違和感を覚えた段階で、冷静に相談するという“最初の一歩”が非常に大切になります。


「近所だから言いにくい」「ちょっと我慢すれば済むかもしれない」と感じることもあるかもしれません。しかし、その我慢が積み重なると、やがて大きな不満へと変わり、関係性が悪化する原因にもなり得ます。


記録を取り、適切な相談先に伝え、誠実な対応を求めることは、決して攻撃的な行動ではなく、自分と家族の生活を守るための当然の手続きです。周囲との良好な関係を保つためにも、感情をぶつけるのではなく、事実を丁寧に伝えるという意識が欠かせません。


そしてもう一つ忘れてはならないのは、こうしたトラブルの経験が、将来自分が施主や依頼主となったときに、より良い対応を考えるきっかけになるということです。住まいの環境をつくる一員として、配慮ある行動を学ぶ機会でもあるのです。


なお、現在進行中のご不安や相談ごとがある場合には、専門業者への問い合わせという選択肢も視野に入れてみてください。

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